こんばんは。
ひとり写真部です。
さてさて、最近ちょっと写真が撮れていないので、読んだ本の話を。
「吉原手引草 松井今朝子 著」
平成の世には、色・匂い・味・感触・音、更にはそれらを組み合わせたもの。
情報は光の速さで世界中で飛び交い、経験していないこともそれによってあたかも
経験したような錯覚。
五感・脳を刺激され続けている今、本物に出会ったときの感動・神秘性は薄くなる。
そんなことを思うのは、こんな状況ではなかった時代と比較しているわけで、
江戸時代も恐らくこんな状況ではなかったと容易に推測される。
なので、江戸時代に絢爛豪華とされた品々を現代の刺激に慣れきった脳で改めて見ても、
江戸時代に絶品と持て囃された名店の味を食しても、文化的な興奮はさておき、
それほどの感動は得られないのではないかと考えている。
しかしながら、「吉原手引草」を読んで、江戸時代に行きたい。と本気で思ってしまった。
単純だけど、吉原に行って見たい。と思ってしまったのだ。
吉原と言えば日本一の色街としてあまりにも有名。
1957年の売春防止法施行まで、実に300有余年の長い歴史がある。
その、長い歴史の中で吉原は独特の文化を生み昇華させてきたと思う。
売春という決して褒めることの出来ない行為を(後ろめたさからかなんなのか知らないけれど・・・)
ここまで文化的に仕立て上げた日本人の考え方は俺は単純にすごいと思うし、
日本人に根差した(と勝手に思っている)変な性癖と、欲望とがぎりぎりの秩序で保たれた空間は
後にも先にもここだけでは無いかと思ってしまう。
人間の陰の部分から生まれた文化はそれを隠すように、妖しく華やかに浮世離れした世界
を作り上げたのかなぁ。
バーチャルな刺激に慣れ親しんだ脳には、この妖艶な世界の生身の刺激はよく効きそうです。
今日もひとり写真部に来てくれてどうもありがとう。
寒くなってきました。
はやめにお布団に入って、ゆっくり本を読むのが楽しいのです。